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第61話 もどかしい距離

Auteur: Aica
last update Date de publication: 2026-05-26 00:17:06

【一弥side】

夜のパーティーで、俺は杏華との微妙な空気をなんとか変えようとしていた。

こんな場所で、感情まかせに、あいつに俺をぶつけたことが自分でもどうかしていたとは思う。

俺らしくない。

そう思いつつも、パーティーでもやけに杏華の様子が気にかかってしまう。

こういうパーティーでは常に夫婦として杏華が隣にいたのが当たり前だった。

それが今はあいつは隣にはいない──。

それどころか同じ空間にいるのに、さっきの影響のせいか視線も合わないほどの距離にいる杏華と、なぜだか心の距離も遠いように感じる。

無意識に杏華の方を見ていると、その視線は明らか俺の方じゃなく、逆側にいるあのカメラマンの方に向いてるような気がしてならない。

こんな状況は初めてで、また胸がざわつく。

あいつと出会ってから、あいつの視線はいつだって俺の元にしか向いていなかった。

どんな男がいようが、近くても遠くても俺だけに視線を向け、俺が視線を合わすと、その表情をすぐに緩めていた。

何が嬉しいのかわからなかったが、それがあいつの当たり前だった。

そんなあいつが今は俺じゃない違う男にその視線を向けている。

それがどうしてか無性
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